4.石膏の熟成と水和機構

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石膏の熟成と水和機構

焼石膏は、水と反応して、二水石膏となり、その結晶がからみ合うことで、凝固する。

CaSO4・1/2H2O+3/2H2O→CaSO4・2H2O

  • 01

    焼石膏100gに対する水の量(ml,cc,g)を混水量という。

  • 02

    焼石膏中にα型半水石膏の配合が多くなると、標準混水量が小さくなる。

  • 03

    同一の焼石膏について、混水量を小さくすると、凝固時間(作業時間)は短くなる、強度・膨張が大きくなる。

  • 04

    水温(スラリー温度)を下げると、凝固時間(作業時間)は長くなる、強度・膨張が大きくなる 。

  • 05

    練和(撹拌)時間を長くすると、凝固時間(作業時間)は短くなる、強度・ 膨張が大きくなる。

  • 06

    焼石膏と水以外の第3物質が入ることで、物理性能である凝固時間(作業時間)強度・膨張などが変動する。

  • 07

    各種焼石膏製品は、α型半水石膏とβ型半水石膏の配合の組合せと、第3物質の添加によって作られる。

第3物質について

  • ※第3物質の溶解度は重要で、着色剤のように少量添加で、溶解度の小さいものは物理性能に殆ど影響がない。 溶解度の大きいものは、少量でも、単独あるいは組合せにより、石膏の物理性能に大きな影響を及ぼす。

  • ※第3物質の成分(イオンの種類、イオン半径、イオンの電荷)、pH、石膏及び溶解度に対する影響度、 石膏成分に対する反応性、イオンの移動速度に対する影響が、石膏の水和機構に複雑に作用して、物理性能が変動する。

熟成について

  • 工業的に焼石膏を製造する場合、時間短縮と硬化時間を不必要に硬化促進する2水石膏が残らない様に高い目の温度で焼成する。これにより、一部Ⅲ型無水石膏が混入することが一般的である。

  • Ⅲ型無水石膏は、反応性が高いため、空気中の水分により全て半水石膏になり、更に余剰の付着水が付いた状態で販売されることが多い。この状態になることを「熟成」と呼び、適正な熟成品は作業性も性能も良くなる。

  • ただし、付着水が多すぎて過剰になると過熟成あるいは風邪引きとも呼ばれる状態となり、作業性が悪化、硬化時間が早くなり、使用困難となる。そのため、使用後はポリ袋や金属缶などでの密封保管が推奨される。