石膏について

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11.歯科理工学問題Q&A

歯科理工学関係のQ&Aをまとめました。

印象材関係編

1.印象材とは何か。

口腔内部の間接模型を製作するための、形態を採得するための材料。
精密な反転精度を有し、間接模型を製作し、患者や医師の負担を軽減させる。
硬化の状態で弾性印象材と非弾性印象材に分類される。
また、印象の採得法により、加圧印象と無圧印象に分類される。

2.非弾性印象と弾性印象との違いとその用途

粘膜組織の印象採得の場合、過度の加圧をすると粘膜面の再現性が問題となることがあり、印象用石膏が用いられることがある。
印象用石膏では、非弾性のためアンダーカットのある場合の操作が煩雑となるため、アルジネートやシリコーンなどの弾性印象材が主流となっている。

3.ハイドロコロイド印象材の原料は

寒天印象材の主原料・・・テングサ、紅藻類の海草
アルジネート印象材の主原料・・・アルギン酸ナトリウム。ジャイアントケルプなどの海草をアルカリ処理したもの。

寒天印象材は、寒天水溶液が温度の高い場合は流動性のある液体であるが、温度が下がるとゲル化する性質を利用する。(可逆反応)

アルジネート印象材は、アルギン酸ナトリウムが石膏のカルシウムなどと反応してアルギン酸カルシウムとなり3次元の網目構造となりゲル化する性質を利用する。(非可逆反応)

4.アルジネート印象材のゲル化時間の調整法

(1)各メーカーのファスト、ノーマル、スローの順に遅くなるのでこれを利用する。
(2)水温の影響が大きいので水温を下げて遅くする。

5.アルジネート印象材の口腔内での保持時間

2分~2分30秒間
練和方法(機械練和で短くなる)、ペースト温度(温度が上がると短くなる)の影響を受ける

6.インビビジョンとシネリシスとは

【インビビジョン】
膨潤のこと、ハイドロコロイド印象材を清水に長時間漬けると膨らむ現象
【シネリシス】
離液のこと、ハイドロコロイド印象材を空気中に放置すると収縮しながら内部の液がしみ出す現象

いずれも印象の寸法精度低下原因となる。

7.ハイドロコロイド印象採得後の保管方法

空気中・・・収縮が激しいので極力短時間とする。
水中・・・膨潤が激しいので極力短時間とする。
100%相対湿度中・・・最も寸法変化が少ないが、長時間の保管は避ける。

8.印象採得後石膏を注入するタイミング

印象材は、時間経過に伴って収縮しやすく、また、ハイドロコロイド印象は離液して石膏の面品質が低下するので、できるだけ早く石膏注入するのが望ましい。

9.離液したハイドロコロイド印象の石膏に与える影響

寒天からの離液・・・硼砂液、寒天水溶液
アルジネートからの離液・・・リン酸塩水溶液
離液成分は、単純に石膏の混水比を上げるだけでなく、何れも石膏の硬化時間を遅延するので、模型表面の硬化遅延が起こる。模型内部の硬化に伴って膨張するため減圧して模型表面の必要水分が不足する。そのため、模型表面は硬化しないまま撤去され面荒れ状態となる(ドライアウトと呼ぶ状態)。
超硬質石膏が面荒れしやすいのは、この時の遅延傾向がより大きいためである。

10.固定液とは

石膏の硬化促進剤となる硫酸カリウム、硫酸亜鉛等の2%水溶液のこと。
固定液は、離液分を洗い流すだけでなく、促進効果のある液が印象表面に残るため、模型表面が早く硬化するため面荒れ防止効果がある。

歯科用石膏編

1.歯科用石膏の種類

歯科用石膏は、石膏原料の種類によって、β石膏を原料主体にした歯科用焼石膏(普通石膏とも呼ぶ)とα石膏を原料主体にした歯科用硬質石膏に分類される。
歯科用硬質石膏の中でも、膨張をより低く、高強度としたものを超硬質石膏と呼ぶ。
(注)歯科用石膏の詳細な分類は、ISO、JISの規格で分類法が必ずしも一致しない。

2.α石膏とβ石膏の区別を説明せよ。

β石膏は、平釜と呼ばれる大気中で加熱されたもので、原料2水石膏の形状のまま結晶水が抜けたものである。
α石膏は、圧力釜で加圧水熱加熱されたもので、水熱中で溶解再結晶したものである。
α・βともX線解析でも区別ができず、結晶的には殆ど差がないが、形状的には大きな差がある。
α石膏・β石膏とも100gの水和に必要な理論水量は全く同じであるが、α石膏は緻密で少ない水で練和できるため高強度となる。β石膏は、多孔質なため、より多い練和水が必要となり強度は低くなる。

3.混水量・混水比について説明せよ。

混水量は、焼石膏100gを練和する水の量(g)を言う。(単位%)
混水比は、焼石膏1重量を練和する水の重量比率を言う。(無単位)
各製造メーカーの規格表の一番上に記載されるのは、このデータが最も重要で、他の性能全てに影響を与えるためである。

4.混水比の硬化時間、硬化膨張、強さに対する影響は

混水比を上げると、硬化時間は遅くなる、硬化膨張・強さは低下する。

5.硬化時間を遅延する方法を説明せよ。

混水比を上げる。練和時間を短くする。水温を下げる。
遅延剤(例:クエン酸ナトリウム)を添加する。

6.硬化時間を促進する方法を説明せよ

混水比を下げる。練和時間を長くする。水温を上げる。
硬化促進剤(例:スラリーウオーター、硫酸カリ)を添加する。
(スラリーウオーター:石膏模型を湿式トリーマーで削った白濁液。石膏の水和反応の核となり、硬化促進剤として利用できる。多量に使用しない限り、模型への悪影響がない。)

7.石膏硬化体の気泡の種類と発生原因を説明せよ。

印象へ先に注入した石膏の上に、後から注入した石膏が被さる様に巻き込む泡。
(注入速度のバラツキ、流し継ぎ、石膏の硬化時間が早い場合や注入作業の後半に発生する。)
印象のアンダーカットや角部分に注入した石膏が入らないで気泡として残る泡手練和の場合に石膏粒子間の空気が練和時に抜けきらないで残った気泡。
シリコーン印象の場合に石膏の発熱温度で発生するガスが石膏表面に発生する泡。

8.気泡のない石膏の練和方法

真空練和器を使用する。
手練和の場合は、石膏、水は標準混水比で計量する。ラバーボールに水を入れてから、水面に石膏を散布する。散布後30秒程度放置すると、石膏内部の空気が水と置換する。
スパチュラで均一なペーストになるように1分間練和する。
練和後、ラバーボールにバイブレーターをあて、気泡を浮き上がらせる。浮き上がった気泡は、息を吹きかけるなどして消してから、注入する。

9.石膏模型面の荒れと気泡を少なくする石膏の注入方法

寒天・アルジネート印象の場合は、印象を撤去後、直ちに水洗して、アンダーカット、コーナー部の溜まり水を「こより」などで除去・水切りし、印象が乾燥しない内にできるだけ早く石膏を注入する。
なお、寒天の剥離の原因になるので、水洗後のエアーブローは避ける。
シリコーン印象材の場合は、印象を撤去後、水洗して、界面活性剤系の表面処理剤を噴霧して、余剰液を完全に除去して、充分な練和をした石膏を注入する。
(充分な練和をした石膏は、注入後に早く硬化をするため、それだけ面荒れが減少する。)
注入はバイブレーターをかけながら、一ヶ所からゆっくりと行う。流れている先端部分をよく観察してコーナーやアンダーカット部分に石膏が確実に流れ込むのを確認しながら注入する。
必要な模型面の高さまで注入されたらバイブレーターを止めて、後はスパチュラで盛り付けてもよい。

10.保管中の石膏が湿った場合の影響を説明せよ。

石膏を高温・多湿の場所で開放放置すると、付着水分が増加していく。最初は硬化時間が遅延するが、更に放置すると、石膏粒子の表面に2水石膏が生成する。2水石膏は、石膏の硬化促進剤としての性質を持つので、硬化時間が早くなる。
この状態(風邪ひきとも呼ぶ)になった石膏は、一応の硬化性能を有すが均質硬化しないため、充分な性能発揮は望めない。

11.石膏を注入してからの印象の保管方法を説明せよ。

寒天及びアルジネート印象の場合
注入後は保湿箱に保管する。
(乾燥雰囲気に放置すると印象は多かれ少なかれ、印象は収縮して収縮の圧力で、模型が変形することがあるため。)
シリコーン印象の場合
通常の室内であれば、注入後そのまま放置してもよい。

12.印象から撤去後の模型の保管方法を説明せよ。

メーカー指定の時間に印象から撤去した石膏模型は、乾燥しにくい場所で2~3時間放置する。
その後は、速やかに45℃以下の通風で乾燥する。
(乾燥雰囲気で長時間印象から撤去しないと、印象の乾燥収縮の圧力で、模型が変形することがあるため。)
(濡れている石膏模型に圧力をかけると変形するが、乾燥した模型は変形しない。)
(石膏の完全水和には、焼石膏で2時間、硬質石膏で3時間必要なため。)
(石膏模型は完全乾燥すると、ぬれている時の約2倍の強度になるため。)
(45℃を越えて乾燥すると、徐々に結晶水が抜けて強度低下するため。)

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